タワーマンションの規約共用部分に託児所があり、託児所の収支が赤字なために託児所側が管理組合側に撤退を打診。しかしその託児所が分譲時の鳴り物入りで設置された経緯から、管理組合は総会決議を取って管理費で託児所の運営費の赤字を補てんする補助金の支払いを始めた。しかし一部の区分所有者から、そのような補助金としての支出が管理規約で認められた管理費の使途を超えているとして管理規約違反による違法無効を主張され、訴訟となった。
このようなケースにおいて、補助金の支出を管理規約に違反して無効とする判決が1月28日に東京高裁で下されました。託児所への補助金の支出は、管理規約上支出が認められている『通常の管理に要する費用』にはあたらないと判断されています。一審の地裁では補助金の支出は適法であり有効とする判決が下されたので、逆転判決となります。
しかし本件、そもそも原始管理規約(分譲者が最初に作成する管理規約)において託児所の運営主体やルール、費用負担のありかたさえきちんと規定してあれば、あるいは託児所に対する補助金の支出も適法有効と判断された可能性もあります。
このように多様な共用施設を抱えるマンションほど管理規約での共用施設に関する規定ぶりが非常に重要となります。少しでも現管理規約の共用施設に関する規定ぶりに疑問のある管理組合様は、是非一度弊事務所までご相談になることをおすすめいたします。
※ なお、本事件は最高裁に上告されています。