総会議決要件をどう考えるべきか~駐車場関連工事編~

Q. 弊マンションでは、①機械式駐車場の撤去工事、及び②専用庭の平置き式駐車場への変更工事を理事会で検討しています。それぞれ総会における議決要件をどのように考えるべきでしょうか。

A. いずれも共用部分の「変更」(区分所有法17条1項本文)、それも「その形状又は効用の著しい変更を伴」う(同条)ものと考えてまず間違いないでしょう。すなわち原則として総会の特別多数決議(区分所有者及び議決権の各4分の3以上の賛成)を要するものと考えられます(同条項)。 

  問題は、その共用部分の変更が「専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきとき」(区分所有法17条3項)に当たるかどうか、となります。これが「当たる」といえれば、その工事を行うためには「特別の影響を受ける」区分所有者の承諾を得ることが必要になります(同条項)。なお、駐車場や専用庭の利用関係も、それらを利用している区分所有者の専有部分の利用関係に密接な関連性を有するといえるので、駐車場や専用庭の利用方法を変更することが一定の条件のもとで「専有部分の使用に」特別の影響を及ぼすべきときにあたると考えられます。 

 この点、①の工事については、その機械式駐車場を撤去することでマンション敷地内から駐車場が全くなくなってしまい、その近くに代替の駐車場を管理組合で借り上げられる見込みもない、ということであれば、機械式駐車場の利用者に「特別の影響」を与えることは明らかといえるでしょう。すなわち、機械式駐車場利用者の個別の承諾を要すると考えるべきです。一方、敷地内に(駐車可能台数はある程度減少するとしても)相応の平置き式駐車場を新しく用意し、そこからあふれる駐車場の利用希望者には至近にある駐車場を管理組合で借り上げて対応する、ということであれば機械式駐車場の利用者に「特別の影響」を与えるとまではいえない気もします。いずれにしても機械式駐車場の状況(利用年数、利用状況など)、撤去に対する代替策の内容(代替駐車場の台数、マンションからの距離、駐車場使用料の金額)などを総合的に判断する必要があるでしょう。

 一方、②の工事については、専用庭の形状及び区分所有者や管理組合による専用庭の利用実態などを考慮すべきでしょうが、区分所有者の専用使用権が設定されている場所である以上、原則として専用使用権を有する区分所有権者に「特別の影響」を与え、その個別の承諾を要することになるものと考えられます。

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