区分所有者が管理者を訴える際の当事者適格の問題

Q. 弊管理組合では,管理規約で理事長を区分所有法上の管理者と定めると規定しています。その理事長が,勝手な判断で管理組合予算から違法な支出を行っていた事実が判明しました。これを知ったわれわれ有志の区分所有者数人が原告となって,理事長に対して損害賠償請求訴訟を起こしたいと考えています。可能でしょうか。

A. 残念ながら,このような区分所有者の方々に当事者適格(当事者となりうる資格)が認められることは困難でしょう。すなわち,そのような訴訟を地方裁判所に提起しても,訴え自体が不適法として却下されてしまうということです。

判例は,このようなケースにおいて,訴えを起こした原告側の当事者適格を否定しています(東京地判平成4年7月16日判例タイムズ815号221頁,東京地判平成4年7月29日判例タイムズ801号236頁,神戸地判平成7年10月4日判例時報1569号89頁)。理由は,区分所有法においては,会社法における株主代表訴訟のような制度が定められていないため,一部の区分所有者が区分所有者全体の代表となって役員の責任を追及することを明文上認めることができない,あるいは解釈でそのような訴訟制度を認めるわけにもいかない,ということのようです。

多数派の理事らによる専横を良識ある少数派の区分所有者が監督してゆくことの必要性自体は否定できないところですので,何らかの法的手当てが急がれるべきところです。

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